以前は気象庁がスギ花粉の飛散予測をしていましたが、現在は行っていません。そのため花粉予測は民間の会社、自治体などから発表され、それぞれに差があります。そのためどの予測を採用するか難しい判断が求められます。報道機関は提携する一社の報告をもとに報告しているようです。
神奈川県自然環境保全センター(厚木市七沢)は、令和4年春のスギ花粉飛散量を予測するため、県内のスギ林30箇所で花粉を飛散させる雄花の着花量調査を実施し、結果報告しています。今回の調査では、スギ林30箇所の着花点数の平均値は37.8点で、この値は昨年の48.7点および過去25年間の平均44.5点を下回り、H29からの過去5年間でみると、最低の値になっています。今回の調査結果から、令和4年春の花粉飛散量は、令和3年春に比べて減少し、例年よりもやや少ないと予測しています。
環境省は、毎年スギ雄花花芽調査を行いその結果を公表しています。令和3年11月から12月にかけて、スギ雄花花芽調査を実施した結果、神奈川では5,855個/m2で前年比79% 平均比78%であったと報告しています。
ウェザーニューズ社の予測によると、神奈川県の2022年スギ花粉飛散は前年比106%、平年比104%、花粉シーズンは開始2月上旬、終了は5月上旬としています。
日本気象協会による2022年春の花粉飛散予測は、関東甲信では例年並み(90%)、前シーズン比で見ると、前シーズンより多い(110%)としています。スギ花粉飛散のピークは、3月上旬から下旬となり、ピークの時期は例年並みとなる所が多い見込みとしています。
当院では、神奈川県内の雄花花芽調査に基づく予測の精度が高いと考えており、神奈川県自然環境保全センターの予測を重視しています。そのため、今シーズンの花粉飛散は、昨年比、例年比ともやや少ないと予測しています。ただし飛散量が少ないといっても、多くの患者さんが発症する、シーズン花粉量が2,000個/㎠を超える見込みです。マスク、メガネ、帽子、手洗い、内服など早めの対策をお勧めします。
2022.02.13更新
2022年花粉飛散予想
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2021.05.02更新
おたふくかぜワクチン不足について
武田薬品工業から、おたふくかぜワクチンを製造しているの山口県光工場において、ワクチン原液製造工程に逸脱が確認されたため、製造所内で保管していた製品の出荷止めを行ったとの発表がありました。
報道によれば、今年の1~4月に実施した定期点検で、原液を製造する設備のフィルターに異常が見つかった。このため、点検結果を待って出荷する予定だったワクチンを「品質への影響が否定できない」として廃棄したとのことです。
もう一つの製造元として第一三共がありますが、当院はこれまで武田薬品製を納入してもらっていたため、第一三共製を新たに仕入れることが困難です。そのため、現在はおたふくかぜワクチンの接種を中止しています。出荷再開は10月末を見込んでいるそうです。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
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2021.04.30更新
日本脳炎予防接種
日本脳炎の定期接種には、ビケンのジェービックV及びKMBのエンセバック皮下注用が使用されています。ビケンから、ジェービックVについて、製造上の問題が生じたことから、2021年4月以降当面の間販売会社への製品の出荷を停止したとの発表がありました(現在12月からの出荷再開が見込まれています)。このジェービックVの製造一時停止により、日脳ワクチンの供給量に影響が生じるため、2社のワクチンともに、出荷量の調整が行われています。
厚労省からは以下の通達が出ています。
4回接種のうち、1期の2回接種(1回目及び2回目)の接種を優先すること。(ただし、定期接種として接種が受けられる年齢の上限が近づいている場合には、定期接種で受けられる年齢を過ぎないように、2021年度内に接種を行うこと)。
日本脳炎予防接種希望の方は、受付までご相談ください。
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2021.01.24更新
2021年春のスギ花粉飛散量予測
新着情報にも載せていますが、ブログにも少し詳しく記載しておきます。
以前は環境省が花粉飛散予測をしていましたが、最近は行っておらず、各種組織が予測を発表しています。各組織間で判断が全く逆になることもあり、それがニュースとして取り上げられた年もありました。
神奈川県自然環境保全センターでは、スギ花粉飛散量を予測するため、県内のスギ林30箇所で花粉を飛散させる雄花の着花量調査を実施し報告しています(2020年12月18日発表)。それによると、スギ林着花点数の平均値は48.7点で、昨年の45.7点、過去24年間の平均44.8点をわずかに上回りました。令和3年春の花粉飛散量は、昨年(2020年春)に比べるとやや増加するものの、ほぼ例年並みと同センターは予測しています。
日本気象協会は、関東甲信越地方のスギ・ヒノキ花粉飛散量は例年比少なく(60%)、昨年比多い(180%)と予測しています(2021年1月20日発表)。
ウェザーニューズ社は、神奈川県の花粉飛散量は平年比67%、昨年比145%と予測しています(2020年9月30日発表)。
私は参加していないので詳細は分かりませんが、NPO法人花粉情報協会は有料セミナーを開催し、その中で予測を発表しているようです。抗アレルギー薬を発売している会社が、独自に飛散予想を発表し、日本気象協会ともウェザーニューズ社とも異なる予想の場合があり、こちらの予測を参考にしているようです。例えばエスエス製薬による予想は、東北南部から関東、東海では例年より多く飛散し、その他の地域では例年並みか少なくなるとしています。
予測にばらつきがあり、どれを採用するか迷うと思いますが、当院ではスギ雄花の着花量が最も相関しやすいのではないかと考えています。環境省も昨シーズンまでは各地の着花量を花粉飛散期前に発表していました。理由は不明ですが、今シーズンは発表がないようです。神奈川県自然環境保全センターのスギ雄花着花量調査が今後も継続されることを期待しています。
いずれにしても昨年よりは花粉が多い可能性が高く、早めの対策をお勧めします。
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